フッ素の話

ーどうやってむし歯を防ぐ?ー

むし歯はどうしてできるの?

歯の表面に付着したミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖質(特に砂糖)をエサにして酸を作り出します。この酸によって歯が溶けていき、むし歯になります。酸ができるまでには、ある程度の時間が必要ですので、アメやキャラメルなど歯の表面に残りやすい食べ物には注意が必要です。

エナメル質や象牙質の状況(=歯の質)によって、むし歯になりやすい人もいます。特に乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは注意が必要です。丈夫な歯を育てるためには、歯の土台を作る良質なタンパク質、歯の再石灰化のために必要なカルシウムやリン、また、これらがうまく働くためのビタミン(A、C、D)などの栄養素が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。

つまり、むし歯を予防するには、①糖質(砂糖)を摂りすぎない食生活、②ミュータンス菌を減らすハミガキ、③歯の質を強くするフッ素(フッ化物)の活用が大切です。

フッ素とフッ化物について

フッ化物は従来「フッ素(fluorine)」といわれてきました。 しかし、現在では、国際純正・応用化学連盟(IUPAC)の勧告(1970年、1990年)により、「フッ素」は元素名であると定義されています。 さらに、水や食品中の無機のフッ素は「フッ化物(fluoride)」と定義されています。

大人も必見!歯と健康のためのフッ化物

フッ化物は地球上の海の水、川の水、土の中などどこにでも含まれています。海藻や魚、草や木、虫や、獣など人間の食べるあらゆる食物、そして、人体にもいろいろ含まれています。私たちが毎日飲む水の中にもフッ素は含まれています。

フッ化物応用にあたって

むし歯の予防のためのフッ化物利用については、適量を利用することは体に影響がなく、厚生労働省や日本歯科医師会が推奨しています。

フッ化物は、どこにでもある自然環境物質です

フッ化物利用にあたって

フッ化物応用にあたっては、正しい知識や利用方法について周知を行い、保護者、関係機関等の理解と協力をもとに、次の点に十分留意のうえ実施する必要があります。

  1. フッ化物の応用は、総合的なむし歯予防対策の一環としてとらえ、自分に合った正しい歯みがきと糖分の適正摂取等を十分啓発すること。
  2. 児童や保護者等の選択の自由を十分尊重しながら実施すること。
  3. 薬剤の管理、調合、使用等は歯科医師、薬剤師の指導監督の下に行うこと。
  4. フッ化物の応用に関する有効性等の情報の収集を行い、関係機関等に的確に提供すること。

むし歯予防法

まずは歯みがきが基本!

汚れが残りやすい部分を重点的にしっかり磨きましょう

毎日、歯みがきをしているのに、むし歯や歯周病になってしまう方が少なくありません。それは、磨いたつもりでも、磨き残しがあるからです。磨き残しのないセルフケアを身につけましょう。

鏡を見てチェックしましょう!

フロスや歯間ブラシなども使用しましょう

歯ブラシだけでは届かない歯のすき間には、デンタルフロスなどを使いましょう。

フッ化物洗口

フッ化ナトリウム(NaF) 0.05%(フッ化物イオン濃度225ppm)週5回法 0.1%(フッ化物イオン濃度450ppm)週2回法 0.2%(フッ化物イオン濃度900ppm)週1回法があります。
1人分の洗口液量は園児5~7ml 小中学生10ml 原則として30秒~1分間ブクブクうがいをします。(予防効果は30~80%)

フッ化物洗口法

洗口の特徴

a 方法が簡単である。
b むし歯予防効果が高い。
c 対象者が多い。(施設単位で実施することによってその施設全員が対象となる)
d 費用が安い。

対象者

歯の萌出直後に効果が高いことから、永久歯が萌出した4~5歳頃から親知らずを除く全ての永久歯の萌出が終わる15歳頃までが対象です。
ただし、洗口(ブクブクうがいを一定時間持続し、その後吐き出す)が確実にできることが実施開始の前提です。通常の生活が送れる子どもであれば、フッ化物洗口を禁止すべき疾患や体質はありません。

継続期間

継続期間は長いほどよく、永久歯が萌出した頃から永久歯が生えそろう頃まで続けると、高い予防効果が得られます。

フッ化物洗口の効果

フッ化物洗口した場合のむし歯の抑制率は30~80%と言われています。
予防効果を評価する方法としてよく使われるのは、その集団(施設や学年等)におけるフッ化物洗口実施前と実施数年後の永久歯一人平均むし歯本数(DMFT)を比較する方法です。乳歯のむし歯本数は入れません。このとき、健診の基準が同一で行われていることが大切です。

富山県におけるフッ化物洗口の実施状況

各都道府県におけるフッ化物洗口の実施状況(厚生労働省リンク)

フッ化物歯面塗布

歯ブラシ法・綿球法・トレー法
2%(フッ化物イオン濃度9000ppm)フッ化ナトリウム溶液、リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)溶液またはゲルで年2~4回(予防効果20~50%)

フッ化物配合歯磨き剤

むし歯の減少がみられる多くの国々では、さまざまな形でフッ化物が応用されていますが、各国に共通している応用法がフッ化物配合歯磨剤です。先進諸国ではフッ化物配合歯磨剤の市場占有率が90%を超えており、我が国でも2021年には93%を超えています。子どもから大人までだれでも手軽に行えるフッ化物応用法であり、また生涯にわたっての使用が勧められる方法です。(予防効果20~30%程度)